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被爆者の会 今年も8.6広島平和ミーティングに協力


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令和元年(2019年) 広島86平和ミーティングに
私たちも協力しています。

 
  平和と安全を求める被爆者たちの会/令和元年6月
             副代表  池中美平
 
――憲法改正待ったなし!――
  
▼米朝ハノイ会談(2019年2月27・28日)の結果を歓迎する
 世界が注目したハノイ会談は「北にはまだ核放棄の準備がない」という米国の判断で実質的に決裂しました。内外のメディアでは、歓迎と批判の両様の評価がありますが、私達は「とりあえず安堵した」思いです。北朝鮮の思惑通りに合意して制裁が緩和されたら、既視感に満ちた北朝鮮の「ちゃぶ台返し」や「責任転嫁」などの再開は殆ど確実でした。「核放棄」どころか核の容認と増強に繋がった可能性があります。今現在、直接の脅威に晒されている日本が、米欧等の論調に引きずられることはありません。北の脅威に晒されておらず、そして事あれば武力反撃も可能な海外諸国の論評は、他人事に過ぎません。
 現在の北朝鮮は、短距離から長距離まで、15種類以上の弾道ミサイルを国産し、水爆も含めて60基以上の核爆弾を保持していると情報筋は見ています。核兵器自体が開発段階だった金正日氏の時代とは全く違うのです。曖昧な妥協で事態を悪化させた以前の過ちを繰り返すのは止めましょう。金正恩氏がハノイ会談で提示したのは、用済みになった「核施設」の廃棄と引き換えに、国連制裁の主要部分の解除の要求でした。その目的は国内各地に点在する莫大な核施設を維持して「核兵器保有国」の地位を温存することにあったようです。毅然とした「決裂」を歓迎します。
 
▼「平和主義」の誤謬
 
 平成28年から29年(2016年~2017年)にかけて、北朝鮮は多種類の弾道ミサイルと核爆発実験を続けました。国連安保理は「制裁強化」決議をしましたが、中露が北を擁護したので不十分な制裁に留まっています。その条件でも各国海軍の海上監視や、金融取引の監視、航空・衛星偵察などで制裁は実効性を増しました。但し、米朝会談になった直接の要因は、空前の米空母打撃群の北朝鮮近海への展開という、強烈な軍事圧力でした。そこで初めて、金正恩氏は、平昌五輪への宥和姿勢から南北直接会談、そして突然の北京初訪問で中国の後ろ盾を得て、米朝シンガポール会談へと進みました。オバマ政権時代には軍事力を軽視する政策が続いている間に、北朝鮮は安保理制裁の下にあっても、存分に核兵器と弾道ミサイルの開発に邁進することが出来たし、中国は国際法と仲裁裁判所判決を「紙くず」にして南シナ海の軍事覇権を拡大させました。中東の混迷、ISの伸長、シリア内戦の泥沼化、ウクライナ問題等はオバマ氏の政策が災いした、と度々指摘されています。しかし日本では、特に広島では、オバマ氏の宥和主義政策を称賛して、トランプ氏の軍事圧力を拒絶しますが「対話」に繋がる成果を上げたのはどちらだったか?「非平和的手段」を拒否するだけという「平和主義」は、国際関係では反対に事態を悪化させてしまう逆説が突きつけられました。「平和主義」の誤謬が露わになった出来事でした。
 
▼日本国憲法の身勝手
 
 「『善意』からは『善』が、『悪意』からは『悪』のみが生まれると考えるのは、およそ政治のイロハも弁えない『小児病』である」というのは「職業としての政治」が示した至言です。これを「『平和主義』からは『平和』が、『軍事』からは『戦争』のみが・・」と置き換えたら、我が国の「平和主義」と良く適合するようです。その根拠は「日本国憲法」でしょうが、前文の理念と現実は矛盾しているようです。「・・平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した・・」のであれば、北朝鮮政府の日本への核恫喝を歓喜する北朝鮮国民に、"われらの安全と生存"を託すのでしょうか?日本が「・・平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めている国際社会・・」の一員であるならば、ウクライナへの圧迫、ウイグルなどへの専制、中東での圧迫、イラクやシリアでの少数民族の隷従などの「今そこにある"日本国憲法"違反状態」をどのようにして除去するのでしょうか?憲法9条の「戦力の不保持」部分だけを根拠に、自衛隊の存在と行動を妨害するのが「平和主義」の実態であれば、それは身勝手としか言えません。
 
▼世界の常識に添った憲法改正を
 
諸国の安全保障問題に対して、「非軍事」「話し合い」の言葉しか出ない「平和主義」は日本の平和と安全を実現できません。理由は簡単。日本国憲法は日本の国内法に過ぎないからです。諸外国が日本国憲法を守ることはないからです。
前文に言う「・・・人間相互の関係を支配する崇高な理想・・」とは、日本国憲法を律した「マッカーサー・ノート」に由来していますが、それは当時設立途上にあった国連を指しています。国連憲章は、「武力攻撃が発生したとき、集団的自衛権を各国固有の権利と認め(51条)」、「各国は集団的自衛権を基礎にした地域的取り決め(軍事同盟)を結んで、国連安保理に委託する前に、その同盟を優先活用することを求め(52条)」、「国連安保理が活動するときには、その同盟を利用する(53条)」と規定しています。「日本国憲法」の規定では国連は憲法違反の存在になってしまいますね。国連は「非軍事」ではありません。でも日本は、留保条件を付けずに国連に加盟しました。
「憲法」が「国連憲章」より優先するのだ、という主張もあるようですが、日本も加盟する「条約法条約」では「条約の不履行を正当化する根拠として自国の国内法を援用することができない。(27条)」と決まっています。国内法を変えれば、国家間の条約をいくらでも反故にできるのなら、国際関係も国際の平和も成り立ちません。今問題になっている日韓の問題も国内法で条約を無効にする内容だから両国に紛争があるのだと言えます。それはさておき、国際関係と国内法を整合させるのなら、国連から脱退して無防備の夢想に浸って隷従に甘んじるか、憲法を改正して国際的責任を担うかのどちらかです。
 昔の冷戦時は、米国の庇護下で生身の国際関係に日本が晒されることは少なかったようですが、新冷戦の今日は、直接の関与が求められています。こうなってもなお、他国の憲法を誹謗するかのように「世界に誇る日本国憲法」だと自賛することは、大変に気恥ずかしいものです。日本国憲法を世界の常識に添って改正することが緊急に求められます。          以上
 
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