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8.6開催前に著名な方々へ安全保障に関する質問状を送付したが・・

「8.6広島平和ミーティング」開催前に、著名な方々へ安全保障に関する質問状を送付いたしました。しかしながら1名たりとも返信がありませんでした。日頃、高邁な平和論を発信されておられるのにです。

質問の内容と、無回答に対する私どもの見解を掲載させていただきます。
 
なお、プリントしてから読みたい方はPDFフィアルをダウンロードしてください。
 

質問状(PDF) 
世界と日本の「平和と安全」を希求されている著名な方々各位
 


無回答に関する見解(PDF) 
広島において平和運動に邁進する方々宛て質問状への無回答に関する見解


●質問状
世界と日本の「平和と安全」
を希求されている著名な方々各位様

8.6広島平和ミーティング実行委員会
平和と安全を求める被爆者たちの会
平成24年7月14日

前略
ご多忙のところ、突然の手紙を差し上げ失礼いたします。
ご既承かも知れませんが、私どもは8月6日の広島原爆忌を「平和と安全」を現実に即して真剣に考える特別の日と考え、今年もまた第29代航空幕僚長・田母神俊雄氏、及び経済と安全保障の碩学である、作家・評論家の日下公人氏の両氏を迎えて、講演会を開催する運びです。
この行事は当初こそ「誤解や誤認」に基づく様々な批判がありましたが、今や広島での認識も広がり、盛況のうちに今年で4回目を数えるに至りました。大変有り難いことでございます。

今回は特に、南シナ海における中国の力まかせの軍事力展開と、それに連動したわが国固有の領土である尖閣諸島への「日本の支配打破」を呼号して日々強まる軍事圧力と主権侵害(その延長には沖縄県の奪取も見てとれる)に対して、どのようにわが国の独立と主権を確保するかの具体的方策を提示し、この国を平和のうちに子孫に継承していくことを主眼にしています。
現在の事態は、あきらかに従来の「核廃絶運動」の埒外にある事柄ですので、前記の両講演者のご意見のみならず、識者である皆様のご意見もまた非常に重要でありますので、次頁以降の質問形式で示した諸点についてお考えを開示頂きますよう切にお願い申し上げます。該当頁を同封の封筒にてご返送頂きたく存じます。ご参考までに、弊チラシを同封いたしました。
尚、誠に勝手ですがご開示のない部分については、私どもの記載した「コメント」の内容にご同意頂いたものと理解致します。また、ご開示内容は大変貴重なものでありますので、ご回答の有無を含めて広く公開して一般の人々の深い議論を巻き起こす契機とも致す所存ですので、前記と合わせこの点何卒ご了解賜りますようお願い申し上げます。

末筆ですが、電力不足の夏本番に向かい皆様のご健康を祈念致します。
草々

大変心苦しいのですが、簡単な内容なので1週間程度でのご回答を賜りたく。


―――以下、質問形式のご意見承り項目を示します―――
1.中国は1969年のECAFE調査で資源埋蔵の可能性が出た段階で突如、尖閣領有を主張し始め、今年遂に「核心的利益」と表現して、軍事力行使をも正当化しました。
今後、尖閣諸島におけるわが国の主権を具体的にどのような手段で維持するのか、あるいは他の形態もご検討なのかをご開示下さい。


<弊コメント>
中国が「核心的利益」と定義する場所はチベットやウイグルも該当する。1989年のチベット動乱では、「話し合い無用」の殺害も含む苛烈な弾圧が"正当な行為"とされた。この弾圧を主導したのは、政権交代後も軍の主導権保持を目指している胡錦壽現国家主席だった。「核心的利益」がこのような意味を持ち、中国指導部の性格がこのようである以上、"鄧小平氏の尖閣棚上げ論"を無視して軍事力行使を明言し始めた現中国政権との「徒手空拳の話し合い」は成り立たない。こちら側も中国と同等以上の力の準備をして初めてわが国の主権は維持可能になるだろう。中国の尖閣領有の意図は、付近の資源のみならず、沖縄トラフでの原潜活動などで、米国の接近阻止戦略の実現と第二列島線までを中国の自由海域にすることにある。よって日本側も「キンシンジャーの"外交"」で記述される通りの「話し合いでしか解決できないと相手に思わせる力」の保持が必要だろう。




<ご意見>





2.韓国が先日、国連海洋委員会へ「沖縄トラフまでを韓国の大陸棚に延長」するように
申請しました。また一方、朝鮮日報は今月初頭、韓国与党の有力議員が記者会見で明確に韓国の核武装を主張したと写真付きで報じています。既に、北朝鮮との関係を口実にして射程1000kmのミサイルの開発保有に踏み切りました。この射程は日本も攻撃できる能力を持ちます。「ノ・ムヒョン」前大統領が米国に「米・韓条約に"日本を主敵"に明記するよう要求した」ことに表れる思想底流が韓国には根付いています。竹島の支配強化と近海の洋上基地建設と合わせ、わが国はどのように対応すべきでしょうか。


<弊コメント>
韓国による沖縄トラフへの言及は日本の尖閣対応の拙劣さを見切って、東シナ海争奪戦にも参入する意図を明確にしたものだろう。公表された時期は、米クリントン国務長官と玄葉外相の尖閣国有化に関する会談直後だった。会談では中国と米国への説明を約束した。しかし、日本の立場が「領土問題が存在しない」のならば国土の内部的売買関係を外国に説明する必要はないはずである。(故)中川昭一氏が"日本の核武装論議だけでも"と言ったとき、当時の米ライス国務長官は急遽訪日して「尖閣諸島は安保条約第5条の適用範囲」だと明言した。玄葉外相がこの点を指摘しなかったのは氏の外交能力不足を露呈した。日本が無能だと見た韓国が触手を伸ばしたとみるべきである。韓国の竹島での振る舞いが一層傍若無人になっているのも根は同じである。また、クリントン国務長官の要求は中国に押されつつあるオバマ政権の状態の反映だろう。やはり、日本が核論議をすることの効用を再認識するとともに、老獪な知恵と経験を要する外交を、若いだけで未熟な人物に委ねる現政権の浅薄さを廃除しなければならない。脅せば引く日本では国の存続も危ぶまれる。



<ご意見>



3.日本の核廃絶運動はその形態をあまり変えずに長年月続けられてきましたが、尖閣問題などわが国の主権と独立を揺るがすような国際環境の悪化を阻止することは出来ませんでした。尖閣や南シナ海での中国の粗暴な軍事拡張は、核の威力を背景にした米国牽制能力増強に自信を深めた結果だと見なされています。これまでの核廃絶運動が国内の"論議"や通常兵器能力を主な標的としている現状は逆に、日本周辺の国際環境の悪化を助長しているとすら思われます。現在のわが国への主権侵害状況を確率高く改善するためには、具体的にどのような手段があると考えておられますか。


<弊コメント>
結果から見て、鐘太鼓で賑わせるだけの「核廃絶運動」は日本に不利に作用した。
NPT条約は既に実効性を無くし、北朝鮮などの「非核兵器国」の核兵器保有を排除できなかったし、核兵器国は実際的な能力を維持している。核拡散を防げなかった。
技術的観点から言えば、核兵器知見は20世紀初頭からの物理学の進展から蓄えられたものであり、今や「インプロージョン」技術は公知に近い。また核廃絶論には絶対的矛盾が存在する。①実体兵器が無くなったとしても、知見が残る以上いつでも作ることができる。②知見を持つ者や技術書籍類を乱暴だが"抹殺"するとしても、それができるのは知見を持った者だけだから、結局無くなることはない。③秘密裏の開発があってもそれを発見できるのは知見を持つ者に限られるから、知見は不可欠である。・・フセイン存命中のアルミパイプのイラク輸出が「ウラン濃縮用」だと見抜かれたのは、それを知るからに他ならない。これらの現実から、次の「再検討会議」では、日本も保有を「匂わせる」ほどの策略をもって、核の有効管理体制の構築に向かうべきだろう。「被爆者感情」で「廃絶」が実現すると考えるのは夢想ではないだろうか。




<ご意見>





-続きまたは自由記述欄-


●無回答に関する見解
広島において平和運動に邁進する方々宛て質問状への
無回答に関する見解

8.6広島平和ミーティング実行委員会
平和と安全を求める被爆者たちの会
平成24年8月6日

当会は先月(7月)中旬に、広島で表記のような活動を主導・推進される著名な方や団体の合計30ヵ所(以下、彼らと呼ぶ)に対して、今現在日本が直面している主権侵害の危機をどのようにして公正・公平な解決をするか、その実現可能性の高い具体的な手段をご提案されることを求める書簡(後半に添付)を返信用封筒とともに送付した。それは、日頃高邁な平和論を主体的に披瀝されてきた方々などの意見は、我々にも貴重な指針を与えてくれるものと期待したからである。しかし、一応の返信希望期日を大幅に超えた今日まで、残念ながらただの一通の返信も無い。
尚、書簡送付者や団体の明細等は本論最後に記した期間を超えた適当な段階で公表する予定である。

求めた問題は、政府始め日本人一般が懸念する現在未解決かつ悪化しつつある諸事柄の中から厳選した以下のわずか3点であった。

1.わが尖閣諸島を「確信的利益」と呼んで、軍事行動も含む行動で主権の侵犯を繰り返す中国からの主権擁護の維持手段
2.韓国の竹島支配強化や有力議員の核武装発言、また日本も射程に納めるミサイル保有や沖縄トラフまでの韓国主権の延長を国連に申請したあらたな領土野心への対応方法
3.これまでの「核廃絶運動」がこのような事態を阻止できなかたことを踏まえて、今後の実効性のある平和運動への改善手段

これら喫緊の課題に対して無反応であることは以下記述するような意味を持つ、と我々は感じ取った。質問状には、当方のコメントが記載してあり、「返答無き場合は当方コメントに同意したと看做す」と念を押していた。

1.質問状を送付した著名な発言者の方々は、記載通り当方コメントに同意されたと考えても良いが、彼らの年来のご主張とは軌を一にしないので、このような断定は早計であろう。詰まる所、彼らが日頃披歴している平和を希求する言論とは、現在の国際政治の許容するあらゆる方策を模索して、この時代における有効な策を駆使して得られる現実的な最善の平和を掴み取る努力を放棄しただけの、自らが好むところの仲間内だけが心地よくなる理想論か、あるいは空想論を露呈しているだけのものであろうと感得した。

2.前項の通り、日頃の高邁な「平和論」は、現実に起きている冷厳な事実の時間的・空間的広がりを、客観的かつ総体として見据えることなどおそらく無いだろうと我々は観察した。このような思考形態では、書簡の付録に添付した「尖閣と竹島の歴史的問題や現況を簡単に纏めた絵柄」を目にした時、彼らが具体的で実効的な方策を出すことなど出来なかった、と感じられるのである。

3.彼らが日頃他者に厳しく要求する「話し合い」を、意を異にする我々のような相手に自らは実行されないのであれば、彼らのいう「話し合い」とは内輪の中でしか実現しない所謂お題目の範囲にあり、説得力は皆無である、と推定される。

このように、具体的問題への対応力が無く、「話し合い」を主張しながらも説得意思が皆無で、意を異にする相手には無視・無言であるのならば、著名な言論人あるいは活動家としての資質を認めることはできない。すみやかに広島においてまた日本においての「言論人」ないし「活動人」としての現在の地位から退去されるのが相当である、と信じる。

もし我々の受け止め方に対して、反発、反論、異論を持たれるなら、既に送付させていただいた書簡に再度目を通され、意見を記載して返信されることを望む。我々は、彼らの一部から受けてきた規制や難詰の経験から得た忍耐力を持っているのでもうしばらく待つ。

しかし、本日より数えて旬日を出でてもなお無応答のままならば、書簡コメントに同意されたか、この見解に示した感得や推定が証明されたと我々は受け止める。この見解は、書簡に明記した通り、現在の広島における平和運動の実情を示すものとしてここに経緯等を公開する。
以上