TOP > 更新情報 > 8月15日 戦歿者追悼平和記念の集いに130人【広島護国神社】
講演で山本氏は
「日本人の海外戦歿者の概数は240万人、うち未帰還遺骨の概数は113万柱。
さらにそのうち海中に没した遺骨や、中国東北部などの相手国事情で収集困難な遺骨以外で、
御帰還が可能な遺骨の概数は60万柱。フィリピンでは民間団体に委託しているが、
現地人遺骨が混入するなどのトラブルや、当該団体と厚労省で訴訟問題が
発生する等で作業が頓挫している。
サイパン島でも厚労省の手続きの遅れから集団埋葬地の存在がわかっていながら
作業ができていない状況。だが、この状況について厚労省だけを責めるつもりはない。
予算が少なすぎる事が大きい。平成25年度の予算は13億で、うち2/3が硫黄島遺骨収集に使われる。
予算が少ない一つの要因は、遺骨収集について法的な裏付けがない事が挙げられる。
ただしこの件については次回の通常国会で当該新法成立の可能性がある。
ちなみに概数127万柱の帰還済み遺骨についても,うち93万柱が終戦時に復員・引揚時に送還したもの。」
そして最後に「国内に眠っている、いわゆる休眠預金の基金化で資金を調達できないかと考える。
若い人に遺骨収集の現場に行って作業をしてもらう事は立派な平和教育だと思う。」と述べられた。
★声明文
あの敗戦から六十九年目の今日、私たちは祖国の礎となつて下さつた幾多の英霊に対し、衷心より追悼の念を捧げます。
わが国が未曾有の廃墟から立ち上がり、今日を迎へることが出来たのは、すべて英霊と世代を同じくし、その御霊に祖国復興を誓つた先人たちの奮励努力の賜物であります。この方々に対しても、心からなる感謝の念を捧げます。
然るに今日、わが国は東亜近隣の諸国から謂れ無き歴史的非難を浴びせられ、近い祖先の名誉を不条理に汚され、国の尊厳を土足で踏みにじられてゐます。それどころか、自国民を拉致され自国領土を掠め盗られても、その理不盡に対して何ら実効ある対抗手段を執ることすら出来ず、いはば泣寝入りに等しい屈辱に甘んじてゐます。このやうな無残な国を生み出すために、我々は戦つたのではない。日本民族が持つてゐた気高さ、雄々しさはどこへ行つたのか・・・泉下に叫ぶ英霊の声が、この耳にありありと聞えて参ります。
幸ひにして現安倍政権は、特に国家安全保障の面において、注目すべき諸政策を実現しつつあります。多くの困難と闘ひながら、あるべき国家の姿を追求する政府の姿勢を素直に評価すべきです。しかしこれとても、言はばマイナスをゼロに戻す試みに過ぎず、望ましいプラスの道は遥か遠きにあると言はざるを得ません。
総理の靖国神社参拝が外国の圧力で思ふに任せず、その結果、英霊の待ち望む天皇陛下御親拝が途絶えたままの現状が、何よりも雄弁にそのことを物語ります。かつての戦場に眠る御遺骨の収容が、遅々として捗らないのもその表れです。そもそも国難に殉じた御霊を、国家元首が公に悼むことのできない独立国が存在するでせうか。わが国は講和から六十二年も経つのに、いまだに本物の独立国家ではない――全国民がその冷厳な事実を直視しなければなりません。
果してこの責任は政治家にあるのでせうか。でもその政治家を選ぶのは誰でせう。責任はマスコミにあるのでせうか。しかしマスコミ情報に惑はされるのは誰ですか。責任は官僚ですか。教師ですか。企業ですか。組合ですか・・・責めは誰でもない。私たち自身にあります。私たちがこんな国にしたのです。
深刻なる反省の上に、私たちは誓ひます。わが祖国の現状を招来したのは、他でもない私たち自身である。そのことを痛切に自覚し、明日から、いや今日のこの日から、英霊の方々、そしてすべての戦歿者の御霊に顔向けの出来る国づくりを目指して、一層邁進することを。私たちはすべての日本人に訴へます。私たちとともに、祖国再生の戦ひに立ち上がつて下さることを。
平成二十六年八月十五日、第二十三回「戦歿者追悼平和祈念の集ひ」
チラシのダウンロードはこちらからどうぞ
平成26年8月15日(金)
広島護国神社 参集殿
1,000円[ 学生無料]
■ 10:00~ 英霊感謝祭(広島護国神社主催)
■ 10:50~ 平和祈念の集い開会
■ 11:00~ 記念講演
■ 12:00~ 黙 禱
■ 12:40 閉 会
参加申し込み お問い合わせ
TEL 082-831-6205
e-mail info@jp-pride.com
★記念講演
「ご遺骨収集の現状と課題」
山本和敏氏
大東亜戦争で多くの日本人が海外の戦場で亡くなりました。帰還したご遺骨は半分程度で、収容可能な60万を超えるご遺骨が未だに放置されたままです。経済大国になってからも、遺骨収集作業は民間ボランティア任せです。英霊をはじめとする戦歿者のご遺骨を、祖国に帰還させることは国の責務です。戦闘から70年を経過し、今後ますます困難になるのが明らかな以上、直ちに遺骨収集事業を防衛省の所管に移し、最重要事業と位置付けて取り組まなければならないと思います
まだ60万柱が放置されたまま
わが国への侵略を企てる敵の意図を挫き、また現実に侵略が行われれば軍事力で排除し、主権と独立を守るためには、憲法改正はもとより様々な法整備あるいは国民の意識改革などが課題です。その中の一つに、国を守るために戦い、犠牲となった自衛隊員を、国家がどのように祭祀し、追悼、慰霊していくのかという問題があります。そして、その議論の際に問われるのが、大東亜戦争で亡くなられ、海外に眠る遺骨帰還事業への政府の取り組み姿勢です。
大東亜戦争での戦歿者数は約310万にのぼり、毎年8月15日、政府主催により天皇皇后両陛下ご臨席のもと「全国戦没者追悼式」が日本武道館で挙行されています。この中で、本土以外(沖縄、硫黄島を含む)での戦歿者数は約240万人の多くにのぼりますが、厚労省の発表によると遺骨帰還概数は約127万柱、未帰還のご遺骨が約113万柱と言われています。このうち、海没遺骨や相手国の事情で帰還が困難なご遺骨を除く、約60万柱が帰還可能なご遺骨です。
遅々として進まず
戦後、政府の手で行われた海外戦歿者の遺骨収集事業は、主権を回復した昭和27年から始まりました。昭和33年までにアメリカ管理地域内で約1万1千柱が帰還されました。第2次は昭和42年から行われ、約11万5千柱、第3次が昭和48年から行われ約9万9千柱が帰還されました。これ以後、政府は確かな残存遺骨情報がある場合にのみ、遺骨収集団を派遣していますが、作業主体は民間の奉仕活動です。
平成24年度はロシア極東地方のイルクーツクやハバロフスク、中国東北地区、東部ニューギニア、北ボルネオ、トラック諸島、フィリピン、マーシャル、ギルバート諸島などで事業を実施しました。なかでも、硫黄島での遺骨収集は3か年計画で集中的に行われました。昨年度だけで、通常の遺骨収集体制に加え50人規模のボランティア団を年4回派遣しましたが、まだ多くのご遺骨が残っているので、さらに2か年延長されました。来年は終戦70年を迎えますが、全体を見れば、遅々として進んでいません。
民間ボランティア頼りでは限界
遺骨収集活動を急がなければならないのは、誰の目にも明らかです。海外の戦場で亡くなった日本将兵の当時の状況を知る戦友の高齢化は深刻で、これまで元の戦場に足を運び、発掘場所を指示してきた方々も、もはや現地に足を運ぶことすら難しくなっています。現地でも、当時の状況を知る村の住民なども少なくなっています。しかも、ニューギニアやソロモン諸島、マリアナ諸島などでは、平地などでの収集活動も残っていますが、多くは手つかずの密林の奥地や山岳地帯での収集活動です。
収集活動中は野営生活となります。発掘には重機も必要ですし、初歩的な登山技術すら不可欠です。そのためボランティアで参加する人々も、事前に登山訓練や、上級救命講習の受講などを行っています。しかしながら、民間のボランティアに頼っての小規模な収集活動任せでは、時間ばかりが経過してしまいます。米国では遺骨収集は国防省が担当しています。考古学者、人類学者など様々な分野の専門家と米軍兵士によって組織され、遺骨の所在の捜索、発掘、身元確認そして、家族のもとへの返還とすべてを担っています。わが国においても、自衛隊を中心に専属チームを結成し、防衛省の所管として海外での遺骨収集に当たることが求められます。