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「代表」と言えるのか? 8月6日の「被爆者代表から要望を聞く会」に関する要請書

毎年8月6日の原爆記念日に、総理大臣や厚生労働大臣が
被爆者の代表(ということになっている)の話を聞く会合がセットされます。
被爆7団体だそうです。http://www.hiroshimapeacemedia.jp/?p=32804

 
 
しかし、被爆者や被爆二世三世などで構成される団体「平和と安全を求める被爆者たちの会」は、
結成されて5年になりますが、この会合に一度も招聘されていないということで
このたび、下記要請を提出いたしました。
   
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日本国内閣府気付
内閣総理大臣 安倍晋三様
広島市長   松井一實様

   
平成26年8月6日の「被爆者代表から要望を聞く会」に関する要請書
   
前略
 日本国政府閣僚各位、とりわけ内閣総理大臣安倍晋三様におかれましては、日本国並びに日本国民のために、日夜、並々ならぬご努力を尽くされていることに対し、深い敬意と感謝を申し上げます。
 また、松井広島市長におかれましては、被爆地の首長として、我が国の平和と安全に、さらには世界の平和に向けての諸施策を推進されていることに対し、高く評価し、尊敬申し上げております。
 さて、表題に記した「会」は、既に中国地方を代表する新聞社によって報道されました。しかし、私達は記事に接するまでこの事実を知らず、被爆者及び被爆二世等からなる団体の一つとして遺憾に思います。
元来、被爆者全体の意見を代表する存在そのものの無い中で、このような「会」が挙行されるのであれば、多様な意見をくみ取る場であるべきです。よって、私達も意見表明の機会を得られるべく、この要請書を提出致します。
 次頁に記す本文をご覧下さい。
草々
  
      平和と安全を求める被爆者たちの会  代表 秀 道弘(被爆二世)
            同上               副代表 池中美平(被爆二世)
         
                            平成26年7月吉日
  

  
  


「私たちは、集団的自衛権の憲法解釈変更を支持します」

 
平成26年8月6日の「被爆者代表から要望を聞く会」に関する要請(本文)
 
 平成26年8月6日の広島原爆忌の日に開催される頭記の会で、広島の被爆7団体の代表9人が、最近の政策決定である「集団的自衛権の行使容認」への反対意見を安倍総理に直接伝える、との報道が7月3日の地元紙に掲載されました。私達はこのような「会」が催されること自体をこの報道によって知りました。報道が事実であり、7団体の代表だけに意見聴取の招聘が既に行われたのだとすれば、この催しは大いなる虚構であると指摘致します。何故なら、多数の被爆者がこの7団体に意見を委ねたことは無く、彼等は一度として被爆者全体を代表する地位を与えられたことが無いからです。彼等が被爆者全体の代表を標榜するのは僭称に過ぎません。私達は彼等と異なる意見を持つ別の被爆者団体であり、この事実は秋葉前市長時代に広島市公文書(広国平第93号)でも認識されています。従って、私達の意見表明代表者等もまた憲法第15条に基づき、頭記の「会」に参加する権利を有しています。私達も招聘されるべきであり、そのようにお取り計らい下さるよう、強く要請致します。7団体の代表だけに、このような特権的扱いをなさるべきではありません。
 現在の我が国が置かれた安全保障上の困難と、69年前の被爆体験とその後の諸要因によって形作られた被爆者個々人の心情に基づく感情の発露とは端的に言って関係がない、と私達は考えています。被爆経験自体がいかに悲惨だったとしても、それを根拠にして当時とは状況の一変した現在の問題への対処方策だけを代案無く掣肘することは、無責任ではないでしょうか。
 尚、私達は、集団的及び個別的自衛権が、犯すことのできない自然権たる自衛権を構成する要素であり両者は不可分の一体である、という国際法上の公理を深く認識する者であって、集団的自衛権の行使に国内法の制約を加えることは逆に平和を危うくする、と主張します。
 しかし、我が国の世界的にも独特な情念的考え方から推進された、マスコミ挙げての扇動的反対報道の中にあっても、限定的とは言え国際法の常識に向けて敢然と歩を進められた政府の実行力に敬意を表し、高く評価致します。今後なお一層の前進あらんことを強く希望致します。


次に広島市長に申し上げます。
 今年の平和記念式典で発表される公式「広島平和宣言」において、集団的自衛権の行使容認に関する言及を予定されているとすれば、その言及の削除を要請します。私達がこのような要請をする理由は、次の通りです。   
 昨今の我が国における、特に広島における主要なマスコミはこの問題に関して国際法的な見方を排除し、我が国だけにしか通用しない独特の解釈や観念で形成された、言わば「世界から隔絶された秘境の論理」に基づいた報道姿勢を示しています。一方、国際の平和と安全を担う国連の「平和維持活動」は各国の共同行動つまり集団的自衛権の行使を当然の前提として成立しています。それは国連憲章の条文および総会決議、またノーベル平和賞に輝いたPKO活動で培われた慣習法で明白です。世界に向けて、核兵器の非人道性と永続的世界平和を呼びかける「平和宣言」に、現時点での我が国、あるいは中国地区の政治的風潮を反映させることは、国連等の平和維持方策と相反する恐れがあります。市長のご意志がどちらであろうと、世界に向けた平和宣言が地方的政治状況に左右されてよいはずはありません。以前の市長が、この禁忌に触れたことで、マスコミの一部からは大いに批判された過去をどうか思い起こして頂きたいのです。
以上