2009.06.30更新 疑い その2
あなたはどう思いますか?
- 疑い その1
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この8.6田母神講演会の案内チラシを広島市内の公民館に置いてもらうべく、広島市ひとまちネットワーク事務局に依頼したところ、
「広島市は核兵器廃絶を提唱しているので、それに反対する趣旨の講演会には協力できない」と断られた。
北朝鮮は核ミサイルの開発を着々と進めている上、「核ミサイルの狙いは日本である」と公言している。
北朝鮮による核攻撃が現実的な危機としてクローズアップして来た情勢下において、広島市の姿勢には疑問を感じる。
核兵器は国際社会において核抑止力としての有効性が認められている。
つまり核戦争を防止し、平和を守る力が核兵器にはあるという考え方が、今日、日本以外の国においては存在する。
一方理想論として、人類に大きな惨禍をもたらす核兵器は廃絶すべきであるという考え方がある。
我々は理想論をとるべきか?
それとも
現実論を採用すべきなのか?
この課題に関しては、『二者択一の立場をとるべきではない』というのが私たちの考えである。
つまり、核兵器を廃絶させるという理想論を否定はしない。
一方我が国と一衣帯水の所にある中国は多くの核ミサイルを既に実戦配備し、その照準を日本に向けている。
さらに隣国の北朝鮮は核武装を国是としており、核ミサイルのターゲットは日本であると公言している。
このように近隣諸国から核ミサイルで胸元を狙われている日本としては、核抑止力をどのようにして確保するのか?
という課題について現実的な議論を進め、国家政策として具現化しなくてはならないと考る。
さて、軍事のプロである田母神氏は国防の大切さを力説されておられるが、核兵器廃絶の理想を否定はされていない。
現実論として真の核抑止力を持つには、「核シェアリング」による核兵器運用カードを持つべきであると主張しておられるのである。
この提唱はあくまでも現実論であり、核廃絶という理想を否定はしていない。
人類理想郷の実現を祈り且つ希求する宗教家ならば上記の理想論だけを力説しても、なんら実害は伴わない。
しかし広島市民生活の安寧と市民の幸せを現実的に追及しなければならない行政官僚が、理想論だけを求め、
しかも田母神氏の提唱内容を詳細に吟味することなく、拒否反応を示すことは、
市民の立場からするとかえって危険なのではないかと危惧する。
米国のオバマ大統領は核兵器廃絶を目指すと発表した。
しかし彼とて米国の核兵器をいつまでに保有ゼロにすると具体的に発表しているわけではないし、
現実的にそのような確約が出来る筈もない。
マケイン大統領候補に一票を投じた保守系の人たちの間では、アメリカの核兵器が核戦争を抑止し、
平和を守っているという考え方が定着している。
また冷戦たけなわの時、西ドイツは米国軍の核ミサイルの国内運び込みを容認し、
更にその核ミサイルの発射ボタンの運用システムを米軍と共有するという「核シェアリング」政策に踏み切り、
ソ連の核兵器に対する抑止力とした。
そしてその政策は現在も持ち続けている。
我々日本人は北朝鮮による核ミサイル攻撃を抑止するために
現実的且つ具体的にどのような国防体制をとればよいのかを真剣に考えるべきである。
そして我々市民はそのような真の国防を国民のために
真剣に考え且つ行動する政治家を選挙で選ばなくてはならない。
一言付言するならば、
北朝鮮や中国の核ミサイルは軍事的脅威のほか、
北朝鮮や中国の対日外交力を支える力があるという現実も忘れてはならない。
露骨な方法として核兵器使用をほのめかして恫喝するという手もあるが、互いに国益が厳しくぶつかり合い、
互いに譲ることができないような、のっぴきならない修羅場に立ち至った時には、
非核国は核武装国の言うことを聞かざるを得なくなると、私は真剣に危惧している。
個人的つき合い上の仲よしクラブと違い、国益がかかった国家外交においては、核武装国に対しては、
核兵器を使うものなら使ってみよ、君たちも痛い目にあいますぞという
黙示的軍事抑止力を国家として保有することが肝要である。
外交力を担保する核兵器、その強烈な外交力に対抗する外交力を担保する核抑止力、
といった切り口の方が国際政治の現場においては重要な意味合いを持っている。
「核兵器は実戦では使えない政治兵器だ」と言われる所以はここにある。
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- 疑い その2
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新疆ウイグル人居住地域で中国がこれまでに50回近く繰り返し実施した核実験によって、
20万人近いウイグル人が放射能被害によって死亡したそうである。
そして白血病などの深刻な後遺症により死亡者数は増加の一途だというのである。
札幌医科大学の高田純教授がその惨禍を調査・研究されてその結果を著書に纏められ上梓された。
上記はその図書内容の一端である。
これまでにアメリカとかフランスの核実験に対して強烈に抗議し、核兵器廃絶を提唱し続けてきた、
市民団体:「原水禁」と「原水協」は共に現在進行中のウイグル人居住地域における核惨禍には沈黙を守る。
そして人類初の核惨禍を体験した悲劇を原点として、
核兵器廃絶と世界平和実現を提唱し続けてきた原爆資料館が隣国中国の核兵器の増強の事実と、
核実験の犠牲となっているウイグル人たちの悲劇を広く世間の人たちにアピールする姿勢を拒絶する。
彼らが提唱してきた核兵器廃絶とか世界平和実現の理念に大きなブラックホールを発見したような気分であり、
彼らの片手落ちな姿勢がどうしても腑に落ちない。
中国の水爆ミサイルに狙いをつけられ、
さらに300基のノドンミサイルに核弾頭を北朝鮮が装着するのは時間の問題だと考えられ、
この緊迫した東アジアの情勢に直面する我が国は鎌倉時代の元寇以来の国難に直面していると判断している。
建国以来未曾有の危機に直面する私たちは、
彼らが主導してきた「ヒロシマの平和」運動を私たちの常識で再検証する必要があるのではないか。
田母神俊雄氏のご講演は、そのヒントを得るよい機会になるものと考える。
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